Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
七
「ならぬ! 来い!」
と襟がみを掴み、庭へズルズルと引っ張り込んだ。
木戸をとざす貝十郎は、女勘助の前へ立った。
「不覚者め。事さえ起これば、忽ち女から男へ返る! ……アッハハ、男女め!」
七
勘助は苦笑いをするばかりであった。
「勘助!」
と貝十郎は厳しくいった。
「いつも振り袖姿の汝が、村娘風に姿をやつし、ここらあたりをさまよっていたは、当方の事情をさぐろうためな」
「違いまさあ旦那、大違いだ」
「冬次郎様をはじめとし、戸ヶ崎氏や汝らが、諸角覚蔵方に滞在し、我々の様子うかがいおること、拙者においては夙に承知じゃ」
「そりゃアまあ、さようでござんしょうとも」
「事情知りたくば知らせてやろう」
「え、そいつアほんとですかい」
「ゆっくり泊まって探って行け」
「ゆっくり? ……泊まって? ……といいますと?」
「この屋敷から出さぬということじゃ」
「いけねえ、それじゃア監禁だアー!」
「どなたかちょっとおいでくだされ」
貝十郎の声に応じ、白須源吾が奥から出て来た。
「白須氏、こいつを一間へ!」
「狂人よ! 狂人よ!」
と、源吾の背後から従いて来たお浦が、足踏みをし、指をさし、勘助に向かってそう叫んだ。