Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
五
「慶長五年より本年までに、除封減禄のお大名衆、おおよそ三百五十家と見、四十五、六万の浪人が、産まれいでましたはずにござります。死者生者、それらの家族、かようなものを推算いたしますると……」
「まあ大変なものだろうな」
例の香合へ手をやりながらいった。
五
香を無造作に火鉢へくべた。
隙洩る風など一筋もはいらぬ。ここ奥まった部屋の中へ、見事な蜒りを見せながら、さも緩かに紫煙が立ち、末拡がりにひろがった。
一時に四辺が薫染された。
「貝十郎何んと聞いた?」
「伏柴と聞きましてござります」
「あたった、偉いな、さすがはそちだ。……村田春海から贈ってよこした品じゃ」
「ははあさようで、村田殿から」
蔵前の札差しの一人であり、十八大通の仲間であり、しかも学者であり才人であり、意次とも貝十郎とも懇親あるところの、春海はこの時代での寵児なのであった。
二人はしばらく香を聞いていた。
「わしはな」
とややあって意次はいった。
「最近浪人取り締まりについて、もっと徹底した触書を出そうとこう思っているのだよ」
「…………」
「近来彼奴ら党を組み、槍鉄砲など携えて、横行いたすということじゃから『槍鉄砲等携帯者は勿論、長脇差を帯または所持致し歩行候者共は、悪事の有無、無宿、有宿之差別無く、死罪其の外重科に行う可し』