Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
五
「あ」と意次は声をあげ、怯えたように足を止めた。「あれは誰だ! 何者だ! ……宴の席では見かけなかったが……」
「お招きにあずかったどなたかが、遅れて参られたのでございましょう」
貝十郎は何気ないようにいった。
五
「わしは嫌いだ。あの仮装は嫌いだ。……誰だろうな、思いあたらない。……人間も嫌いだ、あの人間も嫌いだ。……なぜだろうな、ゾッとする。……九十郎行って訊いて見ろ! 何者であるかを訊いて見ろ!」
意次にこういわれて、九十郎がツカツカ行きかけた時、弁慶姿のその男は、右の方へ廊下を歩み去った。
「行った、よい、捨てて置け! ……変だな、わしは汗をかいた。冷たい汗を! なぜだろう?」
意次は歩を運んだ。
こうして三人が歩いて来て、その交叉点まで歩いて来て、右の方を眺めたとたん、
「うーむ」と九十郎が唸るようにいった。
弁慶の姿は見えなかったが、羽衣の漁夫の姿をした男と、熊坂の姿をした男とが、廊下の左右、壁の面へ、何気ないように背をもたせ、じっとこっちを見ているではないか。
「彼ら何者でござりましょう。……私、ゾッといたします。……あのお方達も宴の席には……姿見せませんでござりましたが……」