Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
四
た眼でこっちを見ている家治の姿を眺めながら、心の奥で呟いた。
(どうやらこの頃この男は、俺に疑問を持ちはじめたらしい。だからどうしても一刻も早く。……)
「田沼」と家治は口の端から、少し泡を吹きながら云った。「どうもお前は変な男だぞ、このわしに智恵をつけようとする者を、わしから遠ざけようとするようだ。……そうそう以前にもこんなことがあった。奥医師の栗本瑞見が、わしに祖父様(吉宗)の話をしてくれた。祖父様の素晴らしかったご政治の話を。わしは大喜びで聞いたものだ。するとお前が瑞見をしかって、わしの前へ出さないようにした筈だったな。……そこでわしは思うのだ、お浦という女を一度だけ出して、その後わしに出さないのも……」
「上様」と意次は嘲けるように云った。「お浦と申すあの女、発狂いたしましてござります」
「何を云うか! ばかな事を!」
ムックリと家治は起き上がった。
四
すると意次は焔のような赤熊を、ユサリと揺って前へ出たが、圧迫的の覇気のある声で、
「お浦と申すあの女、発狂いたしましてございます!」もう一度いって仮面の眼穴から、家治の顔を一睨した。
これで家治は抑えられた。