Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
三
「稲荷め、ほんとに験のない野郎だ、あちこち掠り傷負わしゃアがった。……痛い! チクチク! こん畜生! ……もう拝んでやらねえぞ」
「そこで弁天様へ宗旨変えかえ」
三
「でもないということにして置こう。……弁天様へなど宗旨変えしたら、お吉様という荒神様が、滝夜叉の本性を現わして、印を結んで八擒十縛、揉み立て揉み立て苦しめましょうからね」
「荒神様はないでしょう」
お吉はもう一度睨む真似をしたが、
「滝夜叉姫もないでしょう。……あたしゃア玉菊のお吉でありんす」
「ありんすという遊里言葉、こいつを聞くと思い出すな」
「何を主は思い出しなさんした」
「と、だんだん嬉しいことになるが、実はお前が河岸店に坐って、ぼんやりことしていた姿ってやつが、ひどく俺らのすき心を煽って、つい格子先へ寄って行くと、こういうご縁になる前兆か、ヒョイと立って来て突き出したは煙管、雁首で袖の辺をがんじ搦み、お上がりなんしと来やがったので、お上がりなさって縁を結んだが、そいつを思い出したっていうことさ」
「三十三軒の河岸店に、三百二十八人の女郎、その中でもあたしゃア二つ星じゃアないが、入山形の方だったのさ、それだのにお前という悪がついたため、売れなくなったの夥しさ。