Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
九
そこを素早く逃げたのは、源内とそうして平助とであった。
「平賀氏、あれは何んで、煙りでござるか、それとも何か?」
植え込みの蔭で平助がいった。
「煙りではござらぬ、白粉で。……イスパニア人がカランス殿を通して、珍しいというところから、田沼の殿様へ献上した、西班牙の捕り物の一つだそうで」
「卵の殻へ灰を入れて、目潰しとして投げるという、日本にもある捕り物の……」
「さようさよう、それと同じじゃ。ただ紅毛の品物だけに、大袈裟に精巧に出来ているまで」
「誰が投げたのでございましょうな?」
「十二神氏、あの人でござろう。いつぞやあの仁とこの拙者、その使用法を研究ましたっけ」
「何が起こったのでございましょうな?」
「さあ、どうやら誰かが誰かを、斬ろうとしたようでございますな」
不意の目潰し、濛々とした白粉、それに姿を眩まされ、互いに互いを見失い、一斉に四方へ散じたと見え、濛気が消えて晴れた後には、一人の姿も見えなかった。
戸ヶ崎熊太郎は亭の蔭にいた。
丘から遙か東へ離れ、ポッツリ建ててある支那風の亭の、背後に一人立っていた。
(殿は? 範之丞や織江殿は?)
で、じっと耳を澄ました。