Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
三
「ヤーイ新助、主どうする」
「魘されらア、逃げろ逃げろ」
振り切って露路へ飛び込んだ後から、
「文なし野郎。一昨日来う!」
悪罵する女の声がした。
「あたったらしいぜ、オイ新助、お前お宝持ってるかい」
「バラ銭集めて両と二分」
「ご大相もないお大尽だ、それだけありゃア明日まで抱けらア」
とたんに一軒の格子戸があいて、
「お二人さんえ、寄って行かしゃんせ」
「出たア新助、またいけねえ」
「どころの騒ぎか、ちょいと見な、滅法もねえ、尤物だぜ」
三
だいぶ窶れてはいたけれど、ネットリとした色気を持った、地女などとは思われない、ひどく垢の抜けた三十がらみの女が、暗い屋内を背にしょって、スラリと立っているではないか。
「こいつア素敵だ」
と外伝はいった。
「おい新助、俺ア寄るぜ」
「が、女は一人だぜ」
「ところが客は二人と来ている」
「籤で行こうか、拳で行こうか」
すると女はニンマリ笑い、
「ご一緒でいいじゃアありませんか」
「え、二人をばんこに取るのか」
こいつあ参ると外伝がいった。
「お二人さんさえよろしかったら」
「おい新助エー、どうしたもんだ」
「改めて兄弟になるばかりよ。……いいじゃアねえか、洒落てらア」