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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

九

――そんなように思われたからであった。

九

しかし田舎にはこういったような、風体様子こそガサツではあるが、心が綺麗で親切気のある、長兵衛があることはあるものと思った。

そこで範之丞は用心しながらも、

「尋ねる人がござりまして……さよう、この諏訪の地に」

と云った。

「尋ねる人が、ははアさようで。……では藩のご重役とか……」

「いやなかなかもちまして。そのようなお方でござりましたら、われわれ兄妹苦労いたしませぬ。……敵で! ……はい、親の敵で」

つい口に出して云ってしまった。事実この通りであるからであった。

九十郎が田沼方を追われ、江戸から去ったと伝聞するや、範之丞兄妹は雀躍りした。

田沼のイキがかかっている以上、討つことの出来ぬ敵であった。が、それがなくなった以上、探し出しさえすれば討つ事が出来る。

そこで主君へ言上して、お墨付きを頂戴し、遠くへ敵の遁がれぬうちにと、ほとんど取るものも取りあえず、急遽旅へ出たのであった。

武州、上州と付近から探した。

それからそれと足どりを尋ね、噂から噂と手繰ったところ、それらしい武士が女を連れて、博徒や香具師の家々を巡り、五日十日と寄食をし、甲州方面へ行ったとのこと。