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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

八

突然お吉は立ち上がった。

「どうした? どこへ? オイお吉!」

「そう聞いちゃア我慢は出来ぬ。妾ア楢屋へ捻じ込んで行って、九十郎の素姓を洗いざらい、ぶちまけて縁談の邪魔してやる。……ご老中田沼のお殿様に、睨まれている、そればかりか、服部兄妹に親の敵と、狙われている身だとねえ」

フラフラとお吉は土間の方へ行った。

「あばれ込むなアいいとして、打ち明けてやった俺へのお礼、おいお吉どうする気だ」

追い縋る団八の頬のあたりを、お吉はピッシリ食らわせたが、

「これがお礼さ、身に滲みたかえ!」

よろけた団八の足に踏まれ、三味線が折れて絃が切れた。

「ヨーシ、何も彼もバラバラにしてやる! 女の一念! 執念で!」

お吉は格子の戸へ縋った。

八

同じこの日のことであった。

高島の城下から一里ほど離れた宮川の里茅野の郷の、立て場の茶屋で服部兄妹、範之丞と織江とが雲助や馬方に、何やら難題をもちかけられていた。

「高島まではなかなかの難路、谷もありゃア、坂もあり、渡るに渡られねえ荒エ河もあるんで、それに奥方だか情婦だか、そんなこたア知らねえが、お連れのお女中お疲労れのご様子、そこで親切に駕籠オ進めたんで」