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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

十五

部屋の中がそれで朦朧となった。

同時に二人ながら重い何物かに、上から圧迫されるような、不快な圧力を身心に感じた。

「殿」

と小声で熊太郎はいった。

「ちと変にござります」

「うむ」

と冬次郎は頷いた。

「変に苦しい。変に弛い。……骨や筋が融けそうな気がする」

「はてな」と熊太郎は耳を傾げていった。「隣室へ何者か参ったようでござる」

十五

「まさかに。……しかし真実か?」

「真実のように存ぜられます」

「が、どうして解るのだ?」

「心眼心耳によりまして」

「そちは剣道では海内無双、そこまで行けばなるほどのう、それほどのこと解るであろう。……戸ヶ崎、襖をあけてみよ」

熊太郎は側の大刀を取り、左の手に持ち膝行し、襖際に寄るとソロリと開けた。

こちらの部屋の燭台の燈が、向こうの部屋へ流れ込み、その部屋を明るめた。

隣室には人はいなかった。

「戸ヶ崎誰もいないではないか」

「立ち去りましてござります。……廊下を奥の方へ歩みおります」

「わしには何にも聞こえぬが」

「佇みましてござります。……襖をあけましてござります。……奥へ奥へと進み行きます」

「行こう! 追おう! 戸ヶ崎参れ!」

「雪洞なりと持ちまして……」