Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
二
一応江戸の自宅へ帰り、それを調える必要があり、かつはもしも妹織江が、なおこの世に生きているなら、兄と別れた一人旅――それも敵討ちの一人旅など、女の身として続けはしまい。自宅へ帰るに相違ない。そういう妹の消息も知りたい。
こう思って江戸入りを諾ったのであった。
二人を乗せた二挺の駕籠が、こうして今や鬼火燃える、古戦場に沿った街道を、塩尻の宿から小諸の方へ、雨に打たれて行くのであった。
その後から九十郎と織江が、黙々として従いて行く。
悲しく恐ろしいは織江であった。
二
司馬又助に女の命、貞操をあやうく奪われようとした。それを九十郎に助けられた。その九十郎は親の敵、兄の敵でもあるらしく、自分を苦しめた敵でもある。
にも関わらず助けられた。
そうしてそれ以来起居を共にし、こうして旅をさえ一緒にしている。
悲しく恐ろしい悪因縁!
もちろんかの女は隙を窺い、九十郎を討って取ろうとした。が、いかんせん武術にかけては、断然段違いの九十郎であった。討ち取る隙など見出せなかった。もちろんかの女は隙を狙って、九十郎の手から逃がれようとした。が、その隙さえ得られなかった。