Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
十九
「お浦なんど今は不要、田沼の私生活荒暴乱倫、それ探って弾劾せんと、心掛けし頃には用もあったが、逃げ水屋敷の田沼の行跡、それをこの眼で見た以上、それ一つだけを取り上げて、弾劾いたしてもいたすこと出来る。いやいやそれとても今は不要か、弾劾なんど手ぬるくて、討って取ろうとしている今じゃ! ままごと狂女お浦なんどいらぬわ! ……何を卑怯者命惜しさに、将軍家後継者に関する件の、一大秘密をお浦ごときが、持ちおるなんどと今に到って、出放題申す未練未練!」
「未練ではござらぬ。まことお浦、将軍家より後継者に関する件の、一大秘密のお書き附けを、お預かり致したに相違ござりませぬ」
「証拠あるか※(感嘆符疑問符、1-8-78) あらば申せ!」
「お浦さながら口癖のごとく『これをお前から越中へ――定信の手へ渡してくれ。……妾から渡すのでござりますのね』と、このように申しておりまする」
「殿、その言葉でござりましたら……」と、この時まで雪洞高くかかげ、土蔵の入口に突っ立って、内の様子をうかがっていた、戸ヶ崎熊太郎が声をかけた。
「その言葉なれば私めも、たしかに聞きましてござります。