Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
三
若くて血の気多い範之丞は、そのつど怒りを心頭に発し、刀の鯉口くつろげたが、いつもお吉に遮られた。遮られて見れば自分は一人、相手は多勢でしかも無頼、切り合えばおよそ斃されるであろう。――ということが感ぜられ、それにどうあろうと親の敵を、討たねばならぬ身の上であった。で、歯を噛んで手を控えた。
それが昂じて病む身となった。
そうして二人ながら一文なしとなった。
でも小諸の城下まで来た。
と、一揆いよいよ猖獗、往来全く閉ざされて、行くことも危険帰ることも危険と、取り沙汰される有様となった。
それでも二人は街道を避けて、山越しに先へ進もうとした。とまた無頼の徒に襲われた。
それを辛うじて避けて逃げ、駆け込んだところがここであった。
この車塚の廃屋であった。
三
ここでとうとう範之丞は、山を越えての長旅など、どう努めても出来ないまでに、病める心身を疲労させてしまった。
(いっそここを仮りの住居にして)
こう二人は決心した。
これ以前から髪飾りと代えて、お玉のお吉は三味線を手に入れ、それを弾いて門に立ち、一文二文と貰う鳥目で、二人は今日までくらして来た。
で、この廃屋を住居にしてからも、お吉は小諸の城下へ出て、三味線を弾いて人の門へ立った。