Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
七
「小綺麗な若衆が出て来ただろう、あいつも賊で新助という」
「…………」
「わしの部下、相棒だ」
「奇矯におわしますあなた様ゆえ、どのような市井無頼の徒を、お手なずけ遊ばしても熊太郎、何んの不思議とも思いませぬが、しかし盗賊とありましては……」
熊太郎は苦々しく率直にいった。
が、冬太郎は磊落に、
「止めているからよいではないか」
「は、しかし……しかしながら……」
「まあ、よいよい」と冬次郎は、懐手をしたまま鷹揚にいった。
「それにしてもさすがは戸ヶ崎、勘助の女装よく見破ったな」
「何んでもない儀にござりました」
「それに反してあの勘助、江戸で名高い戸ヶ崎熊太郎を、知らなかったとは迂濶な奴じゃ」
七
「ハッハッ」と冬次郎は笑ったが、「他出から帰って来たわしに向かい、その勘助めこういうのじゃ――昨夜我々が決行しました事件を、二人の武士が下谷の往来を、批評がましく噂しながら通る、片腹痛く存じましたので、前へ廻って笑ってやりましたところ、後を尾行けて参りました。そこで屋敷へ誘き入れ、奥の座敷へ通し置きました。田沼あたりの廻し者、……ではあるまいかとも存ぜられます、とな。そこでわしは隙見したのさ」