Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
明朗秋の昼
一
三卿親藩諸閣老、それ以前よりご殿へ詰めきり、おのれの屋敷へとては帰らなかった。
田沼意次は将軍の薨去の、一大悲報を耳にするや、即夜参殿しようとした。が、登城口より引き返した。
彼の腹心の一閣老から、彼もし押して参殿せば、近侍の武士たち身命を賭して、彼を刺そうの計画あることと、桑名侯松平越中守より、将軍家ご真筆の遺言状が、すでに西丸大納言、家斉卿へ捧げられたと、密々に告げられたからだそうな。
(大事は去った。俺の世は終った)
屋敷へ帰ると門を閉じ、来たるべき圧迫の手を待った。
同年十月五日附けをもって、意次は四万七千石を召し上げられ、一万石の小大名に落とされ、大坂の蔵屋敷も召し上げられ、家督は孫の竜助が継ぎ、自身は蟄居を命ぜられた。同類の松本伊豆守も、お役ご免にされた上、二百五十石減禄され、小普請入り仰せつけられ、その他の一味も大なり小なり、ことごとくお咎めをこうむった。
将軍にはもちろん家斉がなった。
まる一年が経過して、冬次郎が隅田の夜の堤で、駕籠を襲って織江を助けた、その日にあたる十一月の、晴れて快い日の午後のことであったが、例の下谷の冬次郎の、数寄と風雅とで造られてある、隠れ家の一室茶室めいた座敷で、中庭を眺めながら冬次郎は、貝十郎を相手に茶を喫しながら、長閑そうに話していた。