Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
……九十郎めも警護をゆるめ、己も油断し酔いしれるであろう。戸ヶ崎氏を介添えとし、その方には九十郎を、その隙に討って取るがよいぞ」
「かしこまりましてござります。櫂に仕込んだ父譲りの貞宗、これで九十郎めの首打ち落とし……」
こういって範之丞は櫂を叩いた。
「俺はどうともして田沼めに近寄り、白毛首これで刎ねねば置かぬ」
冬次郎はいいいい金剛杖を、三寸ばかり抜いて見せた。それにも刀が仕込まれてあった。
「田沼め今夜は機嫌上々はしゃいでいるということであれば、将軍家への悪虐は平賀源内や、二人の医師に任せて置いて、己はあちこちの建物へ行き、阿諛の輩と一つになり、乱倫の真似するであろう、そこを狙って、そこを狙って……」
「行列曲がりましてござります」
この時熊太郎がそういった。
蛇の尻尾が石垣の隙へ、ソロリソロリと隠れるように、百鬼夜行の行列が、支那風の建物と高麗風の建物、その二つの建物の間の、小広い道を左へ曲がり、次第次第に見えなくなった。
「向こうに阿蘭陀風の別館があるのだ。ともかくも行こう、忍んで行こう」
三人の姿の消えた後、この特別に高いところに、陰気に建てられてある望楼へは、誰も来るものがなかったので、ひっそりとして寂しかったが、諸所に立っている建物からは、笑う声、囃す声、追う足音、逃げる足音、女の媚を含んだ声、悲鳴