Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「お父様の敵イーッ」
とそこを目掛け、風呂敷に包み抱いて来た小太刀を、抜いて斬り込んだは織江であった。
「妹オーッ」
「お兄イ様アーッ」
「遁がすな敵を!」
詰め寄る左右の兄と妹を、右に睨み、左に睨み、天狗の仮面をユサユサ振り、
「方々掛かれよ、狼藉者でござるぞ!」
その九十郎の呼び声に応じ、遠巻きについて従って来た、十数人の手のもの花四天が、旋風に落花が一所に集まり、渦巻くように馳け寄って来た。
遮って大音声に呼ばわったは、歌舞伎の道具に見せるため、刃に銀紙、柄に金紙を、わざと張りつけ巻きつけたものの、実は真の大薙刀を、抱い込んでいた熊坂長範――すなわち戸ヶ崎熊太郎で、
「汝ら寄らばこの熊坂、薙刀見舞うぞ、下がれ下がれ!」
羆熊岩穴を出たといおうか、意次目掛けてこの瞬間、突き進んだは松平冬次郎で、弁慶姿に抜刀構え、
「姦賊、田沼、天誅ウーッ」
と、――
紫電! 横なぐり! 胴から胸へ!
が、ほとんど間髪を入れず、イスパニアふうの望楼から、投げ下ろされた黒丸子!
音!
幽かではあったけれど……
白煙立って……
漠々濛々!
九
数十間四方白濛々、あやめも知れない混沌の世界!