Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
何んだよ妾にこんな商売、前尻売らせて置きながら、それで食いつないで置きながら、飽きが来たから別れよう! ……チ、畜生! お前という男はなアーッ」
長火鉢の横を躄って廻り、お吉は九十郎の枕上へ来た。
「へい、さようでござんすか、それじゃアおたっしゃでさようならと、別れてやったら九十郎さん、お前には都合がいいだろうが、妾アそれじゃア納まらないよ。……元の体にして返しゃアがれ!」
モロに男の襟を取った。
平然として取らせながら、
「玉菊のお吉でござんすなどと、大口を叩くお前だが、やっぱり女十八番の、喚いて泣いて胸倉を取って、こづき廻して引っ掻いて……という醜態をさらすそうな。……ナ、何んだって元の体にしろ? ……女郎にして返せとこういうのか! ……いと易いことだ、叩き売ってやろう。……が、そいつも面倒か、お吉、俺アもう行くよ」
立ち上がった九十郎の裾を膝で、必死と抑え両手で袖を、お吉はとらえて睨み上げた。
六
睨んでいる眼からは手繰られるように、涙の紐が頬に引かれている。
「それじゃアどうでも妾をすてて……」
お吉はとうとう泣き声を漏らした。
「出て行く気かえ、九十郎さん!」