Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
高島藩の重役衆へ、この旨あらわに申し出で、そのお手引きを得ました上で……」
「それがならぬて、ならぬてならぬて」
又助はいよいよ嚇すようにいった。
「九十郎佞弁口舌の男、高島藩の重役衆へも、とうに取り入り信用されております。そこへ出かけて貴殿お二人、何を申して出でようと、取り上げられぬは知れたこと……」
「理不尽! 何んの、そのようなことが!」
「あるから妙じゃ! いや浮世じゃ! 理不尽のあるのが浮世であって、ないのが夢の世界というもの。な、そうではござらぬか」
「何んでもよろしい司馬氏とやら、九十郎の居場所お知らせくだされい!」
「静かに静かに! 急いてはならぬ。……もちろん拙者お知らせいたす。……が、服部氏、範之丞殿、とにかく一応拙者の屋敷へ、おちつかれてはいかがじゃな」
これが又助の本心なのであった。
自分の屋敷へ誘き入れて、それからゆるゆる細工をし、九十郎に範之丞を返り討ちにさせ、織江を売って金にする。これが又助の本心なのであった。
「そうなさい、ご兄妹、拙者の屋敷へおいでなされ。必ず便宜ござるでござろう。というのは九十郎、時々拙者の屋敷へ参り、門弟どもを相手として、剣術の稽古などつけくれますので。