Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
たところの、時々味方にはなるけれど、おおよそは敵の貝十郎に、不意に出現されたのであるから、不気味といえば不気味であり、冬次郎はじめ一同のもの、固くならざるを得なかった。
「過去は一切いわぬとしよう。貝十郎お前も旅か?」
こうややあって冬次郎はいった。
「はい、旅にござります」
何んにもこだわらない声と態度とで、そう貝十郎は答えたが、
「殿よりお訊ねなき前に、私より先に申し上げまする。……懐中に十手持ちませぬ」
「アッハッハッ、それはそれは、ご念の入った挨拶じゃの。が、それなればなお結構、もっともわしとしても今度の旅は、そちに警戒されるような、あらけない計画も目的も持たぬ。ただの長閑な遊山旅なので、たとえそち十手を持っていようと、ビクとも何んとも思いはしない。……そちいつこの地へは参ったのじゃ?」
「数日前にござります」
「で、どこへ泊まっておる?」
「さあ」
といったが貝十郎は、当惑したような表情を見せた。
「その儀不問に遊ばされたく、貝十郎お願いいたしまする」
「不問に? ……なぜじゃ? ……変ではないか」
「…………」
「で、一人で参ったのか?」
「その儀もなにとぞ不問ということに……」