Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
もちろん貝十郎はお浦の体を――衣裳を、五体を、探しても見たが、どこにどのように隠しているのか見つけ出すことが出来なかった。
それに貝十郎にはお浦という娘が、今では眼に入れても痛くないほどに、可愛いものとなっていた。
終生娶らなかった彼であった。
したがって子がなかった。
お浦が子のように思われるのであった。
それに将軍家のお命を救った。この功績も没せられない。
かたがた無理に嚇かしなどして、その品物を手に入れようなどとは、貝十郎には思いもおよばなかった。
いつも自分の傍らへ置いて、自分の徳に感化させて、彼女の方から自発的に、その品物を手渡すのを待とう。そう思ってそういうようにした。
意次は自分の私生活を、知悉していて世間へ知らせる、そのお浦を殺せと強いた。
が、いつもは大概のことは、その意に従う貝十郎ではあったが、この事ばかりは押し切って反し、頑として応じようとはしなかった。
そこで意次も諦めてしまい、
「では冬次郎の手へ渡さぬように」
こういって放任してしまった。
貝十郎にしても冬次郎様の手へお浦を渡しては一大事、なぜかというに冬次郎様は、越中守様を傀儡として、田沼様の権勢を傾けようとする、その首謀者であるからで、この手へもしもお浦が渡り、お浦が越中守様に逢われたら、その品が越中守様の手へ渡るからであっ