Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「そう百姓が一本気になっては、牧野殿もお困りであろうよ」
同情に堪えないように意次はいった。
いま貝十郎から百姓一揆に関する、詳しい報告を聞いたところなのであった。
「わしは」と意次はちょっと微笑し、「お前に反対をされるかもしれぬが、百姓に対する施政方針は、豆州公と同じなのだよ。つまり松平伊豆守殿とな」
「でござりましょうと存じまする」
貝十郎も微笑していった。
智恵伊豆といわれた松平信綱、彼は農民をこう解していた。「いってみれば油粕のようなものじゃ、絞れば絞るほど油が出る」
だから絞らなければいけないというのが、その信綱の意見なのであった。
「本佐録にはこう書いてあるのう」
ややあって意次はまたいった。
「――百姓は天下の根本なり、これを治めるに法あり、まず一人一人の田地の境い目を能く立て、さて一年の入用作食をつもらせ、その余を年貢に収むべし。百姓は財の余らぬように不足なきように治むること道なりと。……どう思うな?」
「ははあ」
貝十郎はそれだけで止めた。
あんまり馬鹿らしいと思ったからであった。
(治める方はいいだろうが、治められる方はたまらない)
同時に彼は本佐録の話者、本多正信のその意見と、松平信綱の見解とが、徳川代々の執政者の、百姓に対する治法であって、そうして意次その人の治法もそうであることを看取した。