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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

「やっぱりお浦か! ままごと狂女の!」

そう勘助は思わずいったが、

「ひでえや、狂人が俺らのことを、狂人だって吐かしゃアがる」

「世間一統が狂人になっている」

貝十郎は笑っていった。

「世はさかさまだ、正気の者はない」

「狂人よ! 狂人よ!」

なおお浦は囃し立てた。

勘助を引きずりお浦を連れ、源吾が奥へ行きかけた時、

「桐島氏は?」

と貝十郎は訊いた。

「また出かけましてござります」

「よくみんな働いてくれるのう」

一人となった貝十郎は、梅の木の下にぼんやり立った。

咽るような芳香であった。

佶屈牙の枝ぶりであった。

苔のむしている幹のあたりを、貝十郎は撫でまわしたが、

(隠君子、偏屈者、こういう梅のような人間が、一人でもあれば面白いのだが。……その代りさぞまア世の中から、排斥されることだろうなあ)

「貝十郎」

といいながら、この時意次が縁へ出て来た。

「殿、お使者は? 牧野様の」

「逢ってたった今帰したところだ。わしに至急に来てくれとのことだ。……わしの智恵が借りたいらしい。……ところで先刻の話のつづきだが、彼奴ら、すなわち金貸しどもは、武士から俸禄米を質に取って、金を貸して高利をむさぼり、自身は蓄財し武士たち一統を……」