Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
(田沼を刺す際邪魔するであろうが、ナーニ、たかが知れている、田沼と一緒に首掻いてやろう)
こう思って来たのであった。
その貝十郎と逢ったのである。
(いい機会、討って取ろう!)
体を固め暗中に構えた。
藪をへだてて二人はあった。
降るは雨! ささ啼くは夜鳥!
他は絶対に無声無音!
(何者だろう?)
(意外に手強い!)
忍術衆としても技倆の勝れた、ほとんど一流の貝十郎であった。人間さながら消えたかのように、存在の気勢さえも示そうとしない、相手の精妙の遁業にひそかに舌を捲いたのであった。
(俺の素姓を知ると同時に、決死の構えで働きかけた! 討って取ろうの目算らしい。……田沼様のいる方角へ、冬次郎様のいる方角から、忍び姿で走って来たこいつ? ……刺客だな……冬次郎様からの!)
ここに考えが落ちて行った。
まことは最初からそうではあるまいかと、疑わしく思われる節あって、それでかけて止めたのでもあった。
(ではこいつ助けては置けぬ!)
こう思った一刹那、心フーッと遠くなり、躯自ずと浮き上がり、足二、三歩左前へ出た。
(凄いな!)と貝十郎は瞬間に思った。
(凄い誘いだ! 見事な引き手だ!)