Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

「刺客でござろうな、冬次郎様よりの?」

「…………」

「無言、さようか、よいお覚悟」

貝十郎は考え込んだ。

「心剛に情烈しく、立派な烈士とお見受け申した。……拙者に屈折されましたも、技量の相違と申そうより、運不運と解した方がよかろう。……決してお恥じなされぬがよい。……田沼様を刺そうのおぼしめし、拙者においては左担出来ませぬが、しかしこれとても見解の相違、ゆるゆるお話しいたしましたら、お解りになるでござりましょうよ。……さて、拙者貴殿を屈折いたした。忍術衆同志の作法に基き、貴殿拙者に臣事せねばならぬ。拙者の申すこと諾かねばならぬ。……そこで……」

というと貝十郎は、郡兵衛の周囲大地の上へ、十手で大きく円を描いた。

「拙者よろしいと申すまで、円より外へ出てはならぬ。……次に両刀お預かり致す」

貝十郎は歩き出した。

降りまさって来た雨の中に、藪を横にし同じ姿勢で、郡兵衛はいつまでも坐っていた。

諸角覚蔵家の前庭から、犬がけたたましく吠え出したのは、それから間もなくのことであった。

十四

犬の吠え声はやがて止んだ。

犬小屋の隅に二匹の猛犬が、首を垂れ耳を伏せ舌を食み出し、懾服したように縮んでいる。