Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「生きて甲斐なき浮世でござるよ」
足音の主もしみじみといった。
「浪人となり世をせばめ、向こうで追われこっちで嫌われ、仕官は出来ず食うにこと欠き、楽しみとてはほとんどなく……拙者も生きて甲斐なきもの。で、ご境遇にはご同情いたす。……さりとて拙者は死ぬ気にもならぬ。……雨露をしのいで生きてさえおれば、やがては麗かな日も見ようかと、頼みにならぬ未来を楽しみ、やはり拙者は生きております。……貴殿にも拙者と同じ気持ちに、おなりなされてはいかがかのう」
「昨日までは生きる気ござりました。のみならず自分と同等に、食うにこと欠く人々を鼓舞して、食わせようそうして自分も食おうと、百姓一揆の指揮などいたし……」
「百姓一揆の? 一揆の指揮を? ……佐久一円に百姓一揆、勃発いたしたと聞きましたが、さては貴殿がその一揆の指揮を?」
「昨日まではいたしました。……何やら熱を持ちまして、何やら希望を持ちまして。……技量に自信がありましたからで。業に誇りがありましたからで。……屈折されて自信を失い、誇りを奪われた只今では、熱も希望も消えました。……残ったは生ける死骸だけでござる。生ける死骸に人を率いる、何んの力などござりましょう」