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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

委かせてじっとしておいで遊ばせ。――そういう思いを眼にこめて、範之丞を見詰めて抑え、その眼を返すと浪人どもへ、とろけるように笑いかけた。

「はいはいご用でございましたら、何なと承るでございましょうよ」

「解りがいいの、そうなくてはならぬ。……こっちへ来いこっちへ来い」

いって二、三人がお吉を囲み、人家の裏の方へ廻って行った。

範之丞は身を顫わせ、歯を噛みながら立っていた。

(敵討つ身でなかったなら、何のみすみす命の恩人の、お玉殿をそんな目に! ……無残! …… 地獄! ……畜生道! ……俺は何だ! ……俺は何だ! ……腑甲斐なさ! ……意気地なし!)

が、抜き身がドキドキと、提灯の灯に輝いていた。

この頃九十郎と織江とは、街道を反れた曠野の径の、二町ほどの先を歩いていた。

浪人どもと百姓との群が、二挺の駕籠を取り捲いたのを認め、道中に慣れ、悪事に慣れ、そういうことには精通している、彼九十郎は危険だと感じ、素早く人家の蔭へ隠れ、反れてこの径へ踏み入ったのであった。

(可哀そうに駕籠の乗り主、無残な憂き目を見ることであろう)

チラリとそんなことを思ったが、他人の不幸などにかかずらうような、善根の持ち主ではなかったので、もう忘れて歩いていた。