Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
で、おのれやれ討たいで置こうかの、この心持ちにそれ以来、かりたてられていたのであった。
その貝十郎が討てそうだ! 勇躍せざるを得ないではないか!
鳳来川の岸まで来た。
「殿様アこっちだ、橋の方だア!」
河岸の柳の細い枝に、むすびつけてある蝶形の藁、符牒を目っけて新助が叫んだ。
「そうか、行け! 急げ急げ!」
冬次郎はひた走り、熊太郎、清三郎、勘助、新助は、それに引き添いひた走った。
凄い寂しい車塚の郷の、三軒の廃屋の真ん中の家の、黄昏のように暗い部屋の中に、人形を完全に備えている、五個の木乃伊が並んでいた。
浅間山の爆発によって、窒息して死んだこの家のもので、同族の人達は四散してしまい、他部落他村の人達は、死骸とり片附けにもやって来ず、年を経るうちに木乃伊となって、枕を並べているものらしい。
と、その中の一つの木乃伊が、不意にユラユラと起き上がった。
手を振り足を顫わせ宙に立て、ユラユラと一方へ歩き出した。
パーッと赤い花やかな色が、その木乃伊の背後に寄り添い、むしろぴったりと食い附いている。
振り袖姿の娘であり、先刻範之丞とお吉とが、右の端の一軒の家の、雨戸の隙からチラリと見た、その娘に相違なかった。