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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

……ねえ上様こうおっしゃって、私へお書き附け渡されましたのねえ」

思い出したようにこういって、お浦は上様をいとしそうに見やった。

「妾から渡すのでござりますのね、ハイハイ渡すでござりましょうと、妾お引き受けいたしまして、今日までお預かりいたしましたが、いまだに妾越中に、お逢いしないのでございますの」

困ったようにお浦はいって、また可憐しそうに上様を見やった。

「定信様とおっしゃるお方が、どんな方でございますやら、どこにおいで遊ばすのやら、妾ちっとも存じませぬので、途方にくれておりまする。……でも確かにお書き附けは、妾お預かりいたしおります。……ここへ!」

といって懐中の中へ、お浦は両手を差し込んだ。

でもすぐに引き抜いた。

「いえいえ何んでこんなところへ、妾かくして置きましょうぞ。……大切なお書き附けでございますもの。……ここへ!」

といって今度はお浦は、両手を長い袂へ入れた。

でもまたすぐに引き抜いた。

「なんで妾このようなところへ、隠してなんぞ置きましょう。大事なお書き附けでございますもの」

ここでお浦はおかしそうに笑い、甘えるような声でいった。

「上様あててごらんあそばせ、どこにお書き附けかくしてあるか?」