Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
突然お浦は驚喜の声をあげた。
「織江お姉様! 織江お姉様アーッ」
かつて以前兄とも思われる、十二神貝十郎の屋敷内に、この人と住んだことがあり、最後に上様とお逢いした日、昼のうちは百姓家へ、夜に入っては異国風の屋敷へ――狂える彼女にはその屋敷が、逃げ水屋敷と称された、特異の建築であったということなど、もちろん解ってはいなかったが、その屋敷へ貝十郎に連れられ、二人で行ったことを思い出した。
親切で優しかったその人が、柱などにくくりつけられている!
「織江お姉様アーッ」
とまた叫んで、紐を解くべく飛びかかって行った。
このころ九十郎は三軒の家の、中央の一軒へ踏み入っていた。
「やあ、――木乃伊! ……しかも五個!」
思わず叫び棒立ちとなった。
大胆不敵の彼ではあったが、車塚という薄気味の悪い土地で、殺そうとした昔の妾の、三味線の音色を聞いただけでも、かなり神経を悩ましているのに、化物屋敷といわれている、この廃屋の荒れ果てた部屋の、黄昏のように薄暗い中に、一個は破れ襖に立てかけられ、後の四個は板敷きの上に、都合五個の恐ろしい木乃伊が、まざまざと置かれてあるのを見ては、寒気立たざるを得なかった。