Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
に斬り込み殺したと、白状をした九十郎! 無双の手練、また打ち負け、妾殺されるかはしりませぬが、それも運、どうなろうとまま! ……見逃がしてだけは置けませぬ! ……おおおおおお、向こうの家へはいった! ……あなた様にはここにお待ちを!」
いいいい情の激するまま、頬擦りをしつ抱き締めつしたが、板敷きに落ちている刀を拾うと、庭へ飛び下り走り出した。
お浦はしばらく茫然と、織江の後を見送っていたが、慕わしさに後を引かれたのであろう、これも縁から庭へ駈け下り、
「織江お姉様アーッ」
と呼び呼び走った。
が、不意に中の家の前で、足を止めて考え込んだ。
と、にわかに手を打って叫んだ。
「上様ままごとやりましょうヨーッ」
上様のことが――木乃伊のことが、彼女の心に甦って来たらしい。
中の家の中へ駈け込んだ。
右の外れの廃屋の中へ、踏み込んだ九十郎は用心しいしい、奥の方へ辿って行った。
黄昏のように家の中は暗く、板敷きやぶれ、柱かたむき、すさまじいまでに荒れていた。
見れば裏庭に向かった部屋に、三味線が一挺置いてあった。
(これだな)
と九十郎はその前に立った。
(やっぱり空耳ではなかったのだ。