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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

して来たことが、老中失脚の一事によって、画餅に帰してしまったことが、心外に思われてならないのであった。

(どうあろうと機を見て盛り返し、もう一度老中の職につき、自己の計画を実行しなければ!)

それには瀕死の家治将軍が、今日明日にも他界しよう、その時突如参殿して、将軍家生前自分に対して、かくかくのご遺言あったといい立て、それをあくまでも主張した上、いまだに要路に就任している自己腹心の人々をして、この説に是が非でも賛成させ、野望をとげるより策はなかった。

それにはお浦が持っているという、将軍家直筆の遺言状を、敵方の手に取られぬ先に、こっちの手に入れ破棄しないことには、一切の計画齟齬するであろう。

が、幸い九十郎が、そのお浦をひき連れて、今夜帰参を願い出た。

何んという幸運、何んという天佑! これによって見ればこの意次の運命、意外に今後開くやもしれない! それにしても早く遺言状を、お浦の手から賺し取り、破棄し消滅させなければならない。

(しかるを何んぞやあの貝十郎、お浦をかばい余が手に渡さぬ!)

地団駄踏みたい心持ちであった。

とはいえ貝十郎とてこっちの味方、自分がお浦を手にかけて、性急に殺そうとしたればこそ、お浦を娘のように愛している彼が、頑強に拒絶をしたまでに過ぎない。