Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「そうだそうだこの辺だ」
この時貝十郎がヌッと出た。
「外伝、新助ちょっと待て!」
「や」
「へ」
二人ながら周章てた。
「その話真実か?」
「どなたで?」
「どいつだ?」
「貝十郎だ!」
「ワーイ」
「いけねえーッ」
「助け船だアーッ」
「逃げれば斬るぞ! ……訊くことは一つ! ……その男十手を持っていたというか?」
「へ、へい、お持ちでござりました」
「そうか。……ふうむ。……そうすると彼だな」
考えている貝十郎の、隙を狙って二人のワル、
「それ」
「逃げろ」
ワーイと逃げた。
追おうともせず貝十郎は、星空の下に佇んだが(お浦を二人より奪ったものの、十手を持っていたといえば、おそらく彼であるであろうが、千に一つ間違いあらば、お浦今夜中に帰って来ず、お浦今夜中に帰らずば、織江殿の身の上一大事! これはこうしてはいられない!)
身をひるがえすと貝十郎、田沼屋敷の方角へ、脱兎のごとく走り出した。
老いても強力の意次に、羽掻いじめとなった服部織江、長椅子の上に捻じ倒された瞬間、ピーンと幽かに音あって、扉の錠前おのずと外れ、扉一杯にひらかれた。
「おッ」
意次の驚いたところを、一突き突いてたじろがせ、織江は部屋から走り出た。