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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

と冬次郎へ視線を送り、

「田沼様の罪悪お剖き遊ばすも、結構至極とは存じまするが、それには一段と確実なる証拠を……」

「そうだ」

といつか抜きかけた刀を、今は杖のように畳へ突き、それへ身をもたせて冬次郎は云った。

「それにしても獲たいはお浦という女! ままごと狂女のお浦という女! ……貝十郎、そち、行衛知らぬか※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

それには答えず貝十郎は、十手を懐中へ納めて立った。

「お別れに臨み一言ご注意。……先刻の駕籠を田沼の手の者、数十人して奪い返そうと、……」

「何?」と冬次郎は眼を見張った。

「この裏町の露路小路に……」

「いたというか! 何故早くそれを! ……」

「駕籠脇に戸ヶ崎氏おられましたれば……」

「危険だ、相手には九十郎がいる!」

「今頃斬り合っておりましょうか……」

「汝与力でありながら……」

「十手はしまいましてござりますよ」

「勘助来い! こうしてはおられぬ!」

数歩進み出た戸ヶ崎熊太郎は、暗中に眼を据え相手の姿、九十郎の姿を求めながら、

「うむ、貴殿九十郎殿か、拙者は戸ヶ崎熊太郎、一騎討ち承知、おかかりなされ」

云ってソロリと位置を移した。