Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
と、もう一人のお神さんが嚇すようにいった。
「まあまあ恐うございますこと」
「不意に夜女の悲鳴がしたり、髪を振り乱した若い女が、スーッと雨戸から出て来たりして、とても凄いっていうことだよ」
と、別のお神さんがまた嚇すようにいった。
「まあまあ厭でございますわね」
「借りるなら他の家借りた方がいいねえ」
「それでは他の家を借りることにしましょう」
娘は穏しくそういって、行きそうにしたが足を止め、
「先夜少し向こうの方で、恐ろしい切り合いがございましたわね」
「あったあった大変だったよ」
「あのう、その時武家のお嬢さんが、そこからこの辺まで逃げて来て……」
「へえ、そんなことありましたかね」
「この辺で姿が見えなくなったそうで」
「へえ、そんなことありましたかねえ」
「ご存知ないんでございますか?」
「知りませんねえ、初耳だよ」
「化物に食われたんじゃアないだろうか」
別のお神さんが眉をひそめながらいった。
娘は耳を澄ますようにしたが、
「河東節の水調子、玉菊を弾いておりますのね」
「お吉っつぁんというお妾さんだよ」
「綺麗に弾いていなさいますわ」
「あればっかり弾いているんだもの、上手にだってなるだろうよ」