Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「逢って、さて、どうなさいます?」
円い鼻、円い眼、おでこの額、よく喋舌る薄唇、顔の道具は綺麗ではないが、腹が綺麗で追従気がなく、それで熊太郎に愛されている男、それが清三郎という男であったが、そう云って熊太郎の顔を覗いた。
「逢って、さて、話すのさ」
「話してそれからどうなさいます?」
「その男の腹を窺うのさ」
「腹を窺う? 腹を窺う?」
「どういうつもりで田沼殿への駕籠を、何んと思って奪ったかとな?」
「進物駕籠でございますから、いずれその中には高価で珍奇な物が、入れてあったことでございましょうよ、そいつが欲しくて奪いましたまでで……」
「と単純に物を考える、だから幾年剣術をやっても、お前という人間物にならない」
「と早速お小言ですか」
「小言を云わないで抛って置いてご覧、お前という人間一人歩きさえ出来まい」
「烏の啼かない日和はあっても、先生の口から小言の出ない日和、まずもってあるものじゃアございませんな」
「嬉しそうにお前が聞くからよ」
「嬉しそうに先生がおっしゃるからで」
「お前への小言がなくなったら、毎日寂しいことだろうよ」
「今日はどんなお小言が出るかと、実は私としては心待ちに、毎日待っておりますので」