Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
「なるほど見えない、おかしな話だ」
野袴を穿き編笠を冠った、冬次郎がいって熊太郎を返り見、
「戸ヶ崎、お前にも見えないだろう」
「見えませんでございます」
同じような装いをした戸ヶ崎熊太郎はそういって、「いや、まるで化物のようで」
しかしそれからさらに六人が、いよいよその屋敷に接近するに従い、阿蘭陀風をした別館や、イスパニア風をした望楼や、ロシア風をした出櫓が、次々に消えてなくなったばかりか、屋敷そのもの全体が、次第次第に低くなり、その代わりに樹々が背延びしたかのように、高く高く延びて感ぜられた。
「いかさまこいつ逃げ水屋敷だ」冬次郎はいかにも感に堪えたように、
「源内の考案した建物らしい、まことに不思議な屋敷ではある」
「あの屋敷へ今夜入り込みまして、父の敵の平戸九十郎めを、討って取るのかと思いますれば、血のわく思いいたします」
こういったのは範之丞であった。
病弱といってもこれといって、持病を持っているのではなく、要するところ腺病質、蒲柳の質であるまでであった。その範之丞は肉痩せてはいたが、身長は普通でスラリとしてい、そういう身体へ同じように、野袴をつけ羽織をつけ、編笠を深くかぶっていた。