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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme

Aozora Bunko

聞き澄ましていた範之丞は、熱を持った熊太郎の言々句々に、若い、純な、血に燃え易い心を、燃やしたかぶらせ膝進ませたが、

「その陰謀と仰せられるは?」

すると熊太郎は手をあげて、逃げ水屋敷を指し示した。

「田沼め今夜あの屋敷へ、将軍家をはじめ奉り、彼の推挽によって役付いたる人々、立身出世したる奴、また常日頃出入りする輩、および市中の俳優や妓女、それらを招いて仮装の酒宴を催し、落成を祝うことになり、準備出来たるよしにござるが、その席において勿体なくも、人知れず将軍家をなきものにし……」

「ナニ将軍家をなきものに! すりゃ大逆! 主殺しの大逆!」

織江に似て容貌は清々しく、一文字の眉、細く高い鼻、神経質と多血質とを、如実に現わしたやや上がった眼――美しくはあるが女性的の顔へ、紅潮を注して範之丞は叫んだ。

「それというのも田沼主殿頭、己が下り坂を支えんためでござる。すなわち将軍家をなきものにし、己の自由になる幼主を立て、我意を振るわんそのためでござる」

「それに致しましてもかかる逆臣を、誅伐いたそうと心掛くる人、一人もないとは歯痒き限り!」

「いや」

と熊太郎は手を上げて抑え、声を細めて忍びやかにいった。