Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

唖の世

一

唖の世

一

空地が半分以上も占めている六条の延寿院附近は、千種町というのが正しいのであるが、京の者は、源氏町と俗に称んだり、また、平家方の雑人たちになると、

「牛糞町」などといって、振わない門族の果てを、住宅地の呼び名にまで嘲侮することを忘れなかった。

若狭守範綱は、そこに住んでいた。源氏ではないが、院の歌所の寄人たちの官舎は、昔からその地域内にあるのだからしかたがなかった。

なぜ、この辺を牛糞町というかというに、人間の住む地域に、

「六条お牛場」というのが割り込んでいて、汚い牛飼長屋だの、牛小屋だのが、部落みたいに散在している上に、空地には野放しの牛が、白いのだの、斑だの、茶だの、随所に草を喰っていて、うッかり歩くと、文字どおり、豊富な牛糞を踏みつけるからであった。

だから、秋になっても、なかなか蠅が減らなかった。歌人である範綱朝臣は、永く住み馴れた邸ではあったが、それでも時々、

(蠅のいないところに住んでみたい――)と、つくづく思うくらいだった。

しかし保元、平治以来の戦つづきに、歌人などは、まったく、無用の長物と忘れ去られて、ことに、為政者の眼からは、