Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
二
そして、法衣のすそを高くからげると、毛のふかい脛が剥き出されたので、子どもたちは、父のそうした姿をよろこんで、
「お父さまが、お百姓になった。お父さまが、田植しにござる」と、手をたたいた。親鸞は、僧房の窓を振向いて、
「生信房はいるか」するとすぐ、生信房は外へ出てきて、
「おお。……今日もお出かけなされますか」
「大地を素足で踏むと、一日も踏まずにはおられぬような気のするほど、よい心地じゃ。西仏にも、後から来よと告げてくだされ」
「はい」と、生信房が、あわてて支度にもどってゆくと、その間にもう、親鸞は、檜の大きな笠をかむって、すたすたと田の方へ出て行った。
稲田数千石の田の面は、一眸のうちに入ってくる。植えられた田――まだ植えられない田が――縞になって見えた。あなたこなたには、田植笠が行儀よく幾すじにもなって並んでいるのである。その笠の列も、空を飛ぶ五位鷺の影も、田水に映っていた。
「お上人さまがいらっしゃったげな」田の者が、彼の姿を見つけて、すぐ伝え合った。
「おお、ほんとに」
「あんなお姿で来る所を見ると、さっぱりわしらと見分けがつかんわ」
「都にあれば、尊いお身でいられるというのに、なんで、わしらと一緒になって、この泥田の中へ、好んでお入りになるのじゃろ」