Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
三
まばゆそうに正面を見る――
そこには、戸外の大地を焦いている大夏の太陽にも劣りのない旺な仏灯が赫々と燃えていた。
ふたりは、内陣や宝前の整いには、何も驚きを感じなかったが、その灯の色と、ここにぎっしり詰め合っている庶民たちの熱心な眼に驚いた。
(こんなにも、世間の人は、法然上人の話を聞きたがっているのかしら?)と、ふしぎな疑いさえ抱いていた。
そして、軽い気まぐれに、遊山の足のついでに、こうして、紛れこんでいるような自分たちが、悪いような、済まないような、気咎めを、ひそかに感じた。
「ああ、涼しい」ふと、鈴虫がつぶやいたので、松虫も、そういえば自分の肌の汗もいつかひいて――と気がついた。
(何という涼しさでしょう)しみじみと、眼を細めて、彼女もそうつぶやいた。
濤の音に似ている樹々の風が、ここへはいっぱいに吹きこんでくる。松の青々としたにおいが鼻にも感じられる。そして、宝前にゆらぐ星のような無数の灯のまたたきまでが、すずしげに見える。
十名ほどの僧が出て、背をならべて、誦経していた。磬の音が、谷までひびいて行った。そして、谷間からも、経の声と、磬の音が、谺になって返ってきた。