Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

悪人篇

松虫と鈴虫

一

た列としか見えない。

月見も近い八月の中旬というのに今年はこれである。――変化が欲しい。何がな、変化を求めてやまないような意欲が、息ぐるしげな木々の葉にも、道の辺に這う露草の花の頸にさえあった。

「なんという暑さでしょう」

「山を歩くと、汗が出て」

「ま……せっかくのお美しい化粧が、だいなしに汚れましたこと」

「あなたも」

「ホホホ。――でも、御所の局のうちに、じっと装束を着て、かしこまっているよりは」

「それはもう、較べものにならないほど、きょうは楽しゅうございました」

「この大空を、伸々と、見ているだけでも――」

東山のあちこちを、そぞろ歩きしている二人の若い女性があった。

籠から放たれた小鳥のように、この女性たちは、他愛なく、々としていた。清水へも行った、祇園へも詣でた。――そして今、黒谷のほうへ降りてきたのである。

「松虫様」と一人は、一人のほうを呼んでいたし、松虫は、連れの者を、

「鈴虫さま」と呼んでいた。

どっちも、似たような身装をしているが、面ざしは、違っていた。松虫は、すこし年上で、十九ぐらいと見えるし、鈴虫は、十七歳ほどに見える。

すらりと、上背丈があって、面長のほうが、その年上の松虫だった。