Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

六

「歓ばせて、どうなるか」

「満足する」

「それは、肉体がそう感じるだけのもので、心は、その幾倍もの苦しみや、空虚を抱きはせぬか。人間は、霊と肉体とのふたつの具現じゃ。肉のみに生きている身ではない」

「小理窟は嫌いだ、理窟をいってるやつに一人でも幸福そうに生きている者はない。とにかく俺はその日その日が面白くあればいい、したいことをやって行く」

「あわれな男のう」

「誰が」

「お汝じゃ」

「わはッはははは」四郎は高い天井の闇へ洞然と一笑をあげて、

「こいつが、てめえ自身の不倖せも知らずに、俺を不愍だといやがる」かた腹が痛そうにしていったが、ふと、範宴の一語が頭の隅で気になるらしく、

「おれのどこが、あわれなのか、あわれらしいのか、いってみろ」

「おもとのような善人が、会うべき御法の光にも浴さず、闇から闇を拾うて生きていることの、何ぼう不愍にも思われるのじゃ」

「やいっ、待て」四郎は大床を一つ踏み鳴らして、

「おれを善人だと」

「されば、そういった」

「すこし気をつけてものを吐かせ。この天城四郎を善人だといった奴は、天下に汝をもって嚆矢とする。第一、俺にとって大なる侮辱だ。おれは悪人だ、大盗だ」