Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
そこから、渓川道はよく見えるはずだが」
「あまりいつまでも見えないので、もしやほかの裏道へでもかかりはせぬかと気をもんでいるのだ」
「なに、峠の上で、貝が鳴らぬうちは、懸念はない」常陸坊はいいすてて、なおも先へ足を早めた。
と――峠の絶巓に、四方へ竹を立て、注連縄を結い、白木の壇を供えた祈祷場が見えた。
先ごろから親鸞調伏の護摩を焚いて、一七日のあいだ、必死の行をしていた那珂の優婆塞院の総司――播磨公弁円は、銀づくりの戒刀を横たえて、そこの筵に坐っていた。
京都の聖護院から国守の佐竹家に招請されて下ってきたという豊前の僧都というのは、この弁円であった。
彼のまわりには、同じ装いの山伏が、ものものしく居ながれていた。ざっとそこだけでも、十二、三名はいる。その他、あちらこちらに潜んでいる者をあわせたら、どれほどの人数が、この板敷山の樹や岩かげに息をひそめているものか分らない。
「オオ常陸坊か。――途中の物見や合図は、手ぬかりはあるまいな」
「もう、親鸞の師弟どもが、見えてもよい時刻ですが」
「焦心るな、今日あいつが柿岡へ出向くことはたしかなのだ。……七日の祈祷は顕然と効があらわれたものといえる、前祝いに、一杯飲め」