Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

二

一椀の食も、一滴の湯も、喉にとおしていないのである。声はかれ、眸はかすみ、さしも意志のつよい範宴もその夕がたには、がたっと、痩せおとろえた細い手を床について、しばらく、意識もなかった様子である。

すぐ御葉山の下の鐘楼の鐘が、耳もとで鳴るように、いんいんと初更をつげわたると、範宴は、はっとわれに回って、思わず大喝に、

「南無っ。聖徳太子」そして、廟窟の石の扉に向い、無我の掌をかたくあわせた。

「――迷える凡愚範宴に、求通のみちを教えたまえ。この肉身、この形骸を、艱苦に打ちくだき給わんもよし。ただ、一道の光と信とを与えたまえ」思念をこらすと、落ちくぼんだ彼のひとみは、あたかも、の窓のように、灼熱の光をおびて、唇は一文字にかたくむすばれて、太子の廟窟から求める声があるか、この身ここに朽ち死ぬか、不退の膝を、磐石のようにくみなおした。

彼が、この古廟に詣でて、こうした思念の闘いに坐したのは、必ずしも、途中の出来ごころや偶然ではない。範宴は夙くから、聖徳太子のなしたもうた大業と御生涯とを、景慕していて、折もあらば、太子の古廟にこもって、夢になりと、その御面影を現身にえがいてみたいと宿望にしていたのである。