Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
どのくらいな心力と体力のあるものか、範宴は、不死身のように死ななかった。骨と皮ばかりになって、しかも、麓への道さえ塞された雪の日に、
「範宴じゃ、今帰った――」と、一乗院の玄関へふいに立った彼のすがたを迎えて、覚明も性善坊も、
「あっ……」と驚いたほどであった。
休養というような日はそれからも範宴には一日もなかった。おそろしい金剛心である、彼はその冬を華厳経の研究のなかに没頭して、覚明や性善坊と、炉辺に手をかざして話に耽ることすらない。
そうした範宴の日々の生活をながめて、覚明はある時、しみじみと、
「命がけということは、武士の仕事ばかりと思うていたが、どうして、一人の凡人が、一人の僧といわれるまでには、戦い以上な血みどろなものじゃ」と、心から頭を下げていうのであった。
翌年の五月の下旬であった。難波から京都の附近一帯にわたって、めずらしい大風がふいて、ちょうど、五月雨あげくなので、河水は都へあふれ、難波あたりは高潮が陸へあがって、無数の民戸が海へさらわれてしまった。
そういう後には必ず旱がつづくもので、疫病が流行りだすと、たちまち、部落も駅路も、病人のうめきにみちてしまった。