Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
「私は、月輪禅閤の奥に仕える万野と申すものでございますが、御門跡様へお目にかけたいとて、室咲の牡丹を一枝、お姫様の思し召で持参いたしました。また、この御書面は、お父君の禅閤様からのお墨、御返事をいただけますれば倖せにぞんじます。……どうぞよしなに、お執次ぎを」と、牡丹に添えて、書面をさしだした。
坊官は、木幡民部へ、その由を告げた。民部は、月輪からの使いと聞いて、
「どうぞご休息を」と、万野を控えの間へ通した。
「これはお見事な……」と、牡丹をながめて民部はつぶやいた。花はまだ開いていないが、雨に濡れた葉の色が美しかった。
さっそく、範宴の室へ、民部はそれを持って行った。範宴は、姫からの贈り物と聞いて、眉に、よろこびをたたえた。
書面を一読して、すぐ、返事を認めた。そして使いを帰した後で、みずから白磁の壺をとりだして、それへ牡丹を挿けた。
「……あの人の姿のままだ」白磁の水ぎわから生々と微笑んでいる枝ぶりをながめて、範宴はその日の憂鬱を忘れていた。
禅閤からの書面には、いつぞやの礼を尽してあった。玉日姫の難を救ってもらったことが、父として、どれほどかありがたくうれしかったものとみえて、その礼の使者は今日ばかりではない、青蓮院の僧正を通じたり、直接に家臣を向けてよこしたり、あらゆる感謝の意を示したのであるが、範