Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
「彼方へ、輦を曳け」といいつけた。
牛方の小者は、ふいに、善信がどこへ外出するのかと驚きの目をみはった。いわるるままに、輦を遠くへ曳き出し、次に、牛を解こうとすると、
「牛をつけるには及ばぬ」善信は、持仏堂の御燈明から紙燭へ灯をうつして再び出てきた。そして、その灯を、絢爛な糸毛輦のすだれの裾へ置いた。
この輦は、昨年の秋、彼と玉日とが婚儀をあげるについて、月輪の九条家が新調した華美を極めたものである。――ある日は、新郎新婦が、その裡に乗って、岡崎から吉水までの大路を牛飼に曳かせ、都の人々から嫉妬の石を雨のようにぶつけられたその輦でもあった。
「……あっ。師の房様が、輦をッ、輦を焼かっしゃる」牛飼の者は、彼方の小さい火が、やがて、真っ赤な一団の炎となったのを見て、草庵の中へ向って、大声でわめいていた。
九
みな驚いて戸外へ出てきた。
昼の事件が、誰の頭にもあったので、すぐ、
「すわっ」と感じたのは、叡山の者が復讐に来たということであった。
ところが、牛飼の者は、
「師の房様が、気でも狂わしゃったか、輦を、ご自分の手で、あのように焼いておしまいなされた」と、舌をふるわせていうのである。