Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんらん

親鸞

吉川 英治

Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans

Aozora Bunko

北面乱星

一

北面乱星

一

草の育つ夜の雨であった。乳のようにしとしとと蔀にしたたる雨だれの宵――

範綱は、すこし疲れた筆をおいて、燭の丁字を剪った。どこからか入る濡れた風には若葉のにおいがして、この雨上りの後に来る初夏が思われる。

「はやいの――。もう一年になる」机に、肱をやすめて、範綱は弟の死を憶い回した。

有範の世を去ったのが、ちょうど去年の五月である。それから間もなく、二人の遺子と、若後家とを、この六条の家にひき取ったが、自分にそれだけの生活力がにわかに増したわけではないので、範綱は、院のお手当の他に、何か収入を計らなければならなかった。色紙や懐紙に歌を書いたとて、それは足しにもならないし、大きな寺院から写経の仕事をひそかにもらって、筆耕に等しい夜業をしたりしていた。

だが、それも倦む。倦むと時々、

「時勢が時勢なら――」と、平家の世をのろわしく思うてもみるが、結局、無力なものの愚痴と自嘲して、子どもの顔でも見て忘れようと思うのであった。今も、

「……もう寝たか」自分の室を出て、渡り廊下をこえた一棟のうちをのぞくと、

「おお、入らせられませ」若後家の吉光の前は、帳の蔭に、添寝して寝かしつけていた朝麿のそばからそっと起きてきて、敷物をすすめた。