Classiques japonais avec furigana
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しんらん
親鸞
吉川 英治
Lisez 親鸞 (しんらん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 566 138 caractères · 1127 écrans
その日は、ろくに仕事もしなかった。彼を使っている大工頭も、彼にだけは、叱言もいえないで、見ぬ振りをしているのである。
六
楊柳のみどりを煙らして、春の陽はうすずきかけていた。
広い造営の庭には、傍目もふらずに、多くの者が汗にまみれていた。その雑工の中で働いている者は、たいがい賃銀を求めずに、自分たちの家事や畑仕事の暇を見ては、半刻でもと奉仕の労働に来ている人々だった。
一念帰命の
苗をうえ
念々称名の水をかけ
雑行、雑修の
草をとり――
親鸞が稲田で作った田植の歌はここの汗の中でも唄われていた。二丈あまりの材木が、その人々の粒々とながす汗に引き摺られて、作事場のほうへ曳かれて行くのだった。
巨材の木口には、かすがいを打って、鎹には、綱がくくり付けられてある。その綱に、三十人余りの老人や女や童がつかまって、
「えいやあ、えいやあ」と、蟻のように曳いては、
一念帰命の
苗をうえ――
汗は、その人たちの顔に、光りかがやいていた。
単に、自分たちの、飢えをふさぐためや、酒をのむために流す安価な労働では得られない、何かしら大きな幸福感につつまれて、彼らは、声を張りあげていた。